賞 | 氏名 | 学校名 | タイトル |
NFD金賞/文部科学大臣賞 | 下林 優那 | 兵庫県立有馬高等学校 | 弦~ゆずる~ |
NFD銀賞 | 大島 爽太郎 | 兵庫県立有馬高等学校 | しなり |
NFD銀賞 | 市川 さくら | 兵庫県立有馬高等学校 | 光の砂漏 |
NFD銅賞 | 幾島 菜月 | 愛媛県立西条農業高等学校 | Fantastic Succulent |
NFD銅賞 | 小池 美羽 | 兵庫県立農業高等学校 | 一本樹~あなたと共に咲く~ |
賞 | 氏名 | 学校名 | タイトル |
上田善弘賞 | 島田 紗椰 | 静岡県立田方農業高等学校 | 繋ぐ~再出発に向けて~ |
スワミヤ賞 | 宇尾 ゆいな | 兵庫県立有馬高等学校 | 大地甦生 |
氏名 | 学校名 | タイトル |
島田 紗椰 | 静岡県立田方農業高等学校 | 繋ぐ~再出発に向けて~ |
鈴木 芽生 | 静岡県立田方農業高等学校 | 繰り返す畑 |
米山 月渚 | 静岡県立田方農業高等学校 | 7年後の世界 |
宇尾 ゆいな | 兵庫県立有馬高等学校 | 大地甦生 |
木下あゆみ | 大阪府立貝塚南高等学校 | 再出発、再開花 |
阿部 朋華 | 愛媛県立西条農業高等学校 | 芽吹き |
外部審査員:上田善弘
福山市世界バラ会議推進プロジェクトマネージャー
岐阜県立国際園芸アカデミー客員教授。
第18回NFD全国高校生フラワーデザインコンテストについて、昨年に続き審査させていただきました。
さて、本年度の作品テーマは「再出発」でしたが、高校生の皆さんはこのテーマをどのように解釈されたでしょうか。各自、いろいろなとらえ方をされたことと思います。ご自身の再出発、身近な家族のこと、日本社会全体のことなど、どのように再出発しようとしているのか。それを生花でいかに表現するのか、苦心されたことと思います。今回もコロナが収束しきっていないとのことで、作品の完成写真と作成経過の写真により審査を行いました。本年の応募数は、28校90作品でした。審査基準としては、技術力(デザイン性)、表現力(オリジナリティ)、色彩、完成度ですが、私なりに第一印象、人に訴えるもの、植物の専門家としての利用素材の活かし方などを加味させていただきました。
どの作品も高校生ならではのアイデアと創造力に富んだ個性的な作品でした。昨年と比べ、上位受賞者のレベルの高さが目立ちました。高校生でここまでできるのか、ずいぶんと練習されてきたのだろうと、繰り返し課題に取り組むことにより自らの技術を磨いてこられた様子をみることができました。また、指導教官の熱心な指導の様子もみえてきました。
受賞作品別にみてゆきますと、金賞の作品「弦~ゆずる~」は高校生とは思えないような素晴らしい作品で、極めてきめ細かな作業により出来上がったと思われ、自らの繊細な技術を駆使されています。ハープに見立てたフレームに自然木をうまく使い、縦横にめぐらせた弦の糸に落ち着いた花色の花をうまくはめ込み、ブルーのデルフィニウムのバランスのよい配置が他の花を引き立たせています。銀賞の「しなり」は挫折を経験した波乱の3年間を資材の曲線で表現し、そこにうまく藤紫色の花材を活けこんだ素晴らしい作品に仕上がっています。銀賞の「光の砂漏」は楽しく明るい出来事と対局にある辛く悲しい出来事を構成する花の色で表現しています。楽しいことを暖色、辛いことを寒色でじつにうまく表しています。ワイヤープランツやベルテッセンなどの柔らかい茎と花材がとてもよく調和しています。銅賞の「一本樹~あなたと共に咲く~」はとてもユニークな作品で、植物や人の成長の姿を樹木上に表現しています。再出発の繰り返しを四季の変化に重ね合わせ、伸びてゆくように花材をうまく利用しています。特に柿のヘタの利用が活かされています。銅賞の「Fantastic Succulent」は試練や困難を自らの努力で切り開いてゆく様子を多くの多肉植物とランを主とした花で上手に表現されています。ぎっしりと詰め込まれた多肉植物の色に落ち着いた花色のシンビジウムが溶け込み、その先にある柔らかなオンシジウムと羽衣ジャスミンが新しい輝く道として拓かれているように見えます。私が選ばせていただいた審査委員特別賞の作品「繋ぐ~再出発に向けて~」はじつにきめ細かな作業により作られた労作です。小さな幸せから大きな幸せへ、折れ曲がるアリウムの茎で世界を繋いでいくという絶妙な表現の仕方に感動しました。円形世界の外枠制作にナンテンの葉を丁寧に張り合わせていくというフラワーアレンジメントでよく使われる技法をうまく使っています。
受賞された皆さんを始め応募されたすべての方に、花に魅せられフラワーデザインの世界に触れられた感動をさらに極められることを願っています。
外部審査員:スワミヤ
IKEA(スウェーデン本社)外部デザイナー
武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科卒。
この度は僭越ながら「第18回NFD全国高校生フラワーデザインコンテスト」の審査をさせていただき、ありがとうございました。私のような花の学習をしたことのない人間にお役が務まるのだろうかと最初は思いましたが、いざ作品を前にすると普段生業としているデザインの世界となんらかわりないことがわかり、一気に入りこむことができました。違う点といえば花というそもそも美しい自然物を材料に使うところです。
今回はその美しさが充分にいかせているかを見つつ、「与えられたテーマに沿っているか」「オリジナリティがあるか」「形や色のバランスはよいか」「人に見せるためのプレゼンテーション(今回は写真)が上手にされているか」、そして大事な点として「人を惹きつける魅力があるか」を念頭に、何度も行ったり来たりいたしました。すべてが熱量のこもった力作ですし、中には上位に残った作品とあまり変わらないと思われる優秀な作品もたくさんお見受けしましたが、そういう時にはどちらがより心に引っかかるかで選ぶようにしていった結果、驚いたことに花専門の先生方ともそう違わないものを選んでおりました。やはり人目につく作品には技術だけではなく、想いというか熱意というか、目に見えない強さがあるのだろうと思います。
それにしてもこんなに大人顔負けの作品をつくれる高校生が全国に大勢いらっしゃることに驚くとともに、そのチャレンジ精神に多いに刺激を受けました。技術もアイディアもたくさん盛り込まれていたでしょうに今回惜しくも賞をとれなかった方々は、たまたま運が悪かったと思って是非また挑戦していただきたいです。自分も高校生の頃に先生に叱咤激励されながら美術を一生懸命学んだことが、精神的にも技術的にも今相当役にたっていて、多感な高校時代の学びは宝だなあと思っています。どうぞ皆様にはますます腕に磨きをかけ、近い将来日本中を綺麗な花で埋め尽くし、今少し疲れている人々の心を明るくする社会のリーダーになっていただきたいと思います。
特別賞について
もしかしたら一番花の量が少ない作品だったかもしれません。でもひとたび世界で起きているさまざまな悲しいできごとを思った時、道端の小さな花でも人の気持ちを明るくし希望をもたせることができるのだ、restartする時は一から少しずつゆっくりでよいのだ、というやさしい気持ちが感じ取られ、その地味な感じに好感がもてました。倒壊した建物のような石のオブジェも現代アートのようで、ややもすると少し悲しい気持ちになるところが軽減されていると思いました。
内部審査員:児玉慶子 NFDコンテスト審査員
高校生のフォト作品は、どのように取り組まれているのかと、興味と期待がありました。作品は植物の生命を大切に、豊かな発想に基づいて制作されていました。
その中で上位に選ばれたのは、タイトル、コンセプトがしっかり見えて、独創的なデザインに色彩が美しく加わり、バランスの良い作品でした。
金賞「弦~ゆずる~」は、資材と花材が上手く溶け合い、色彩が豊かで透けているように美しくて、あたかも澄んだ音色が聞こえてくるような、完成度の高い作品でした。銀賞「しなり」は、竹の特性を生かしたデザインで、軽やかで、技術の高い美しい作品でした。以上の2作品はとても印象に残りました。
高校生の皆さんの今後の成長を楽しみにしております。
金賞を受賞した下林優那さん