Flower Display 〜フラワーデザインの挑戦〜


バックナンバー


Vol.8 入学式に心躍らせる子どもたちの春色空間
~束ねてつくる色鉛筆~



Challenge!! Display

1 テーマ

入学式を直前に控えた子どもたち。少しの不安といっぱいの希望に心躍らせていることでしょう。季節は桜咲く春。夢と希望にあふれた花いっぱいのカラフルな世界です。子どもたちのランドセルには、真新しい文具が詰まっています。中でもその彩りで子どもたちを楽しい気分にさせる色鉛筆。今回はこの色とりどりの色鉛筆をテーマにディスプレイしてみます。


2 ディスプレイアイテムの特徴を捉える

色鉛筆は文字通り、色のついた鉛筆。もちろん芯となる部分に色がついています。この芯の色を削らずにわかるよう、外側にも着色されています。この特徴を生かしてディスプレイしてみます。


3 テーマvsフラワーデザイナー

今回、色鉛筆をディスプレイするフラワーデザイナーは宮迫真芳NFD講師。

 

90cm四方の空間に、わずか20cmにも満たない色鉛筆をどう主役として表現するか。まずはその空間と主役の大きさの比率をどう埋め合わせるかが重要になります。

 

空間とのバランスが確保できたら、背景となるフラワーデザインでの処理をどうするかを考えます。

 

まず、考えたのは、そこの部分を画板に見立て、大きな色鉛筆を5本立てます。空間にはアルミ線を入れたチューブで、色鉛筆で描いたような流線形を表現。この流線形の先に花畑をイメージでして花を挿していこうと考えました。

 

宮迫氏は、色鉛筆は鉄板で大きなものを作り、その先にカラフルな花が飛び出すというフラワーディスプレイを提案。

 


宮迫真芳

デザイナー・プロフィール

宮迫真芳 Masayoshi MIYASAKO

 

NFD講師 広島県支部

花ファッションデザインチーム

 

4 ディスプレイデザイナーとのコラボ

フラワーデザイナーが考えたデザイン案をプロのディスプレイデザイナーと融合させる。

花の視点とアイテムの視点が限られた空間の中で開花します。

 

(クリックで拡大)

5 制作上のポイント

ディスプレイデザイナーの目を通して、宮迫氏のデザインが新たに生まれ変わりました。

主役としての色鉛筆の外側を利用し、その色を大きな木に貼り付け、1本のカラフルな鉛筆をつくりました。その鉛筆を中心に空間構成が完成。色鉛筆の芯から飛び出す花々。チューブでつくったラインに花びらをあしらい、窓からは桜がのぞきます。

STEP1

色鉛筆を丸い木に両面テープで貼る。鉛筆の先の形は木を削り円錐形にし、固定するワイヤが入る穴をあけておき、丸い木にセットする。


STEP2

90cm四方の枠に入れる底面をつくる。花を挿す部分は四葉のクローバーの形に抜く。


STEP3

枠に白い布を貼る。色鉛筆を固定するワイヤ、吸水フォーム、色つきチューブを底にセットし、STEP1でつくったキャンバスを載せる。


STEP4

窓形に抜いた板を奥の面にセットする。


STEP5

クローバー形に抜いた箇所に花を挿す。奥の窓の外に桜をあしらう。


STEP6

色鉛筆をセットし、チューブに花びらをあしらって完成。


 

 

 

 

6 デザインメッセージ

デザインメッセージ

春は桜とピカピカの1年生。

桜の木の下を通って学校に通うピカピカの1年生。

色鉛筆の描く絵の先は春のお花畑。

心躍る1年生の気持ちをカラフルな色鉛筆のラインで表現しました。

 

デザインメッセージ


7 ディスプレイデザイナーの視点
~監修いただいたディスプレイデザイナーの山田祐照氏からのコメント~

春、入学を待ちわびる子どもの気持ちを、「色鉛筆」をモチーフで表現するプランを宮迫さんよりいただきました。

最初のプランでは大きな鉛筆をつくって表現するプランとなっていましたが、主役は本物を使用したいとの意向をお伝えし、作り物ではなく本物の鉛筆を使って、大きな鉛筆をつくるという提案をさせていただきました。見る人の驚きと共感させるための演出を工夫し組み立てていきます。

全体的に奥行きを意識し、正面の床と壁を白に統一することで、キャンバスが延びていき花によって視線を窓の外へ誘導する構成としました。

当初パレットに咲くブーケのイメージでしたが、要素を整理し手前の鉛筆から、軌跡を描き出し花びらが空間に広がるシンプルな形状に変更しました。

子どものワクワク、ドキドキする気持ちをポップな色合いと花々の動きで表現できました。春らしい、初々しくさわやかなやさしい空間ができました。

 


 

山田祐照 Hiroaki YAMADA

デザイナー・プロフィール

山田祐照 Hiroaki YAMADA

 

ディスプレイデザイナー。1956年生まれ。東北工業大学工学部工業意匠学科卒業。日本空間デザイン協会理事。日本ビジュアルマーチャンダイジング協会理事。(株)ノムラデュオ取締役。ディスプレイデザイン・空間デザイン・プロダクトデザインと、幅広くデザインとディレクションを手がける。銀座和光・京橋ブリヂストンのショーウインドウでディスプレイデザイン最優秀賞受賞。現在は、百貨店のVMDや国内外のモーターショー、光による環境演出のデザインワーク(イルミネーション)を中心に活動している。人々の笑顔のために、ディスプレイという空間増幅装置を駆使し、あらゆる空間や環境に揚力を送り続けている。