平成25年度 NFD one leaf fund

活動報告書

北海道厚岸郡浜中町/ハーバリウム霧多布-地域でつくる霧多布湿原の植物標本集

「調査研究や環境教育に活用することを目的に、霧多布湿原とその周辺域に生育する植物の標本を作製しました。地域住民を中心としたボランティアメンバーで月に一度集まり、植物採取や台紙貼り、ラベル作成の作業を行いました。完成させた植物標本は34科82種246個体となり、採取された植物種は多様な環境を持つ霧多布湿原の特性を示す結果となりました。本活動には、延べ57名の参加を得られました。今後、地域の中学や高校と連携をとり、標本作製を学校授業に取り入れることで、中高生が身近な自然に興味を持つ機会を増やすことができるようになると思われます。また今後、ボランティアツアーや生涯学習の一環として標本作製を行うことを計画しています 。
● NPO法人霧多布湿原ナショナルトラスト 理事長/三膳時子

 


熊本県阿蘇郡高森町Pro Natura Reserve
阿蘇花野トラスト/阿蘇花野再生プロジェクト

阿蘇花野協会は、ナショナル・トラストによって阿蘇特有の植物が豊富に自生していた放棄地・植林地約10haを取得し、「阿蘇花野トラスト」と名付けて活動を続けている。トラスト地内の放棄地約5haについて、昔からの管理方法である野焼きや草刈り・草集めを行い草原を再生し維持している。平成25年度もNFD one leaf fund の助成を受けて、草刈り・草集め・野焼きなどを実施した。その結果、国内では阿蘇にしか自生していないというハナシノブやツクシマツモトをはじめ、春にはサクラソウやミチノフクジュソウなどの春の妖精たち、秋にはカワラナデシコやオミナエシ等の秋の七草など、たくさんの花が咲いて美しい「花野」が再生している。
● NPO法人阿蘇花野協会 理事長/潮谷愛一

 


神奈川県足柄上郡松田町/やどりき水源林における希少植物の調査

私たちは神奈川県松田町にあるやどりき水源林で、7種の希少植物について、その分布状況と生長過程に応じた各部位の計測を行い、定量的データに裏付けられた知見を得るための調査を行っています。 平成25年度の調査では、これまで実態を正確に把握できていなかったベニシュスランの大群落をロープで区切って1m×1mの桝目を作り、出現したすべての株に個体標識をつけ、部位の計測と着花および結実の状況の確認を行った結果、502株が出現しましたが、そのうち着花した株は68株で、結実した株は5株だけでした。これだけの大群落の実態を明らかにできたことは大きな喜びです。
● NPO法人かながわ森林インストラクターの会   理事長/久保重明

 


東京都練馬区/土壌撤き出しによる武蔵野の植物相復元

都市化によって雑木林が減少した武蔵野台地では、雑木林の植物の生育地を保全するだけでなく、新たに生育地を創出することが必要です。当会では、開発される可能性が低い公共用地の植栽樹林に注目し、そこへ近隣の雑木林から採取した表土を撒き出す実験を行っています。2012年に土壌撒き出しを実施し、2年間の植物調査を行いました。2013年には81種の植物が確認され、このうち撒き出し区のみで確認されたものが21種、対照区のみで確認されたものが14種でした。ヤマハッカ、ヒヨドリバナ、ムラサキシキブなど、これまで植栽樹林には見られなかった種が確認される成果がありました。しかし土壌採取地では生育が確認されていても、撒き出し地では発芽を確認できなかった種が多くありました。発芽までに2年以上を要する種もあるので、数年にわたって追跡調査を行いながら、よりよい植物相の復元方法を探っていく予定です。
● NPO法人 生態工房/安部邦昭

 


島根県/里山保全における小規模経済システムの構築に関する調査研究

本事業は、過疎高齢化が進む島根県の中山間地域を対象に、市町村が実施する自伐林業支援の取り組みを活用した里山保全の現状と課題を明らかにした。自伐林業支援は、小規模の伐採・搬出活動の積み上げによる管理・保全を推進する点、搬出量あたりの上乗せ補助額が地域振興券として支払われる点、活動参加者にはこれまでに里山・森林保全にあまり関わってこなかった地域住民を対象としている点に既存の補助制度と異なる特徴がある。島根県では、チップ工場が県内に点在するという特徴を背景に、近年急速に取り組み事例が増えている。今後、里山という地域資源を活用した地域振興のあり方として、自伐林業支援の取り組みがますます重要になってくると考える。
● 島根県中山間地域研究センター 嘱託研究員/赤池 慎吾

 


埼玉県秩父市周辺地域/市民の手によるヤマユリ保護増殖活動

私たちの会は、秩父の自然や文化、歴史などを守り、次世代に伝える活動を行っています。この度、本協会から助成をいただき「市民の手によるヤマユリ保護増殖活動」を始めました。自然豊かな秩父でも、ヤマユリがサルやイノシシの食害や雑木林の手入れ不足などにより急速にその数を減らしています。稀少種ではありませんが、ヤマユリの復活を目指し保護増殖に取り組みます。地域個体群にこだわり、原生地から種子を採取し戻す予定です。花弁の形や色の多様さを目の当たりにし、あらためて原生地へ戻す必要を感じています。秋に種を採取、低温処理をし、春にプランターへ植え付けました。新たな春を迎え、2年目の活動に期待を膨らませています。

● NPO法人 秩父の環境を考える会 理事長/萩原 良朗

 


沖縄県中城村安里/沖縄島希少海浜植物の地すべり防止区域での栽培と増殖

沖縄島の中南部の大半では、土壌の性質により地すべりが生じやすい。活動地区は「地すべり防止区域」に指定され、土地利用に制限が加えられているが、この地区で沖縄島に自生する植物を植えて景観の改善を図り、合わせて地域住民に在来植物について関心を高めて頂くことを目的とした。表土の流失防止のために養生マットを用いたが、この上に植えたクロイワザサとヒメキランソウが根を張らすことができなかった。このため全てのマットを剥ぎ、ヒメキランソウを改めて植え直した。移植株は、順調に増殖しており、地域住民に憩いの場を提供できる状況になっている。オキナワギク、イソノギクの果実を自生地から採集し、果実から発芽した苗を増殖しており、これを活動期間後となるが、梅雨期と秋の降雨期に移植する予定である。
● 金城 章