『新しい日本の花卉装飾』
永島四郎/著
新樹社/刊 1963年/発行 67ページ

 本書が発行されたのは約50年前。昭和30年代と言えば、欧米の文化がどんどん取り入れられた時代。日本のいけばな界にも大きな変化をもたらしたと言います。
 著者は、現在のフラワーデザインの先駆けとも言える永島四郎氏。本書では、その時代において、花卉装飾(フラワー・デコレーション)とは何かという基本的なところから、日本華道と西洋の花卉装飾との関係などについても分かりやすく説明されています。たとえば、花は西洋では日常生活に浸み込んで、色彩的にも派手で自由で多角的。日本では床の間や茶室などに置き、簡素で寡黙であることを尊ぶ。このように、日本と西洋の文化は真逆と言っていいほど異なっていました。
 また、本書では当時の花卉装飾の実際についての記述が多くあります。十字架の作り方という少し珍しい説明が取り上げられていたりもします。全体的にどう使われているのか、あるいはどのような由来があるのか、どんな色を使うべきなのかなど、この1冊に多くの知識が詰め込まれています。私たちが勉強しているフラワーデザインの原点はどこにあるのか知ることのできる貴重な図書の一つです。

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