続・日本の意匠 文様の歳時記(全12巻) ※閲覧のみ
京都書院/刊

 日本には美しい四季が存在します。昔から季節を模した文様は日常に溶け込んでいて、現在でもさまざまな場面で取り入れられています。そして、それらの多くは花や植物で表現されていることに気付くことでしょう。
 本書は春夏秋冬に加えて吉祥、年中行事を含み全12冊で構成されています。意匠とは、美術工芸品・工業製品などの形・色・模様などをさまざまに工夫すること。また、その結果できた装飾であり、英和辞典でも「design」の語釈として「意匠」と言う言葉がでてきます。
 今回は季節に沿って、12冊の中から『秋Ⅲ』を紹介します。主題は「晩秋」、「紅葉の意匠」、「秋のみのり」、「葡萄図と意匠」です。秋と言えば紅葉。あざやかな紅や橙、黄色に色づいたカエデの葉は、日本画のみならず蒔絵や着物の意匠として用いられています。そして実りの秋と呼ばれるように、米、柿、栗、葡萄、茸といった豊かな秋の収穫に関する意匠も多く収録されています。
 もちろん秋だけではなく、他の季節の意匠も色とりどりで美しいものばかり。今回紹介した『秋Ⅲ』の晩秋に留まらず、これから訪れる厳しい冬の意匠を集めた『冬』を眺めながら、季節のうつろいを感じてみてはいかがでしょうか。

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