『エルミタージュ美術館名作展 花の光景』
下山肇/監修  静岡アートギャラリー/編集 静岡市/発行
213ページ

 花は絵などを美しく彩るにふさわしい被写体といえるでしょう。西洋でも東洋でも常に美の対象となり、それ自体が主役ではなくても無数に描かれてきました。人、あるいは空間そのものを華やかに見せてくれる花という存在に、いまも昔も芸術家は惹かれるのかもしれません。
 2005年に開催されたこの美術展では、タイトルの「花の光景」からも分かるように、花にまつわる絵画や工芸品が展示されていました。たとえば花束と題された作品は、研磨やカットされた宝石と細工石材でつくられたもので、まるで本物のようなみずみずしさを感じさせます。そして、掲載されているたくさんの絵画も、マティスやピカソ、シャガールなど、有名な画家が手がけた魅力的なものばかり。また、色とりどりのバラやチューリップ、カーネーションが装飾された花瓶に活けられた絵は、まるで試験テーマのひとつである「絵のような」の見本のようです。そんな千差万別に表現された花の姿が、この図録には収められています。
 美術展の図録は、発行部数も多くなく、終了してから入手するのは難しい本です。NFDライブラリーでは美術展の図録も所蔵していますので、お気に入りの作品を探してみてください。

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