『光と闇 華麗なるバロック絵画展』
東京新聞/編集  東京新聞/刊
193ページ

 本書は、1997年に開催された「リングリング美術館とボブ・ジョーンズ大学コレクションによる 光と闇 華麗なるバロック絵画展」の図録です。図録の大半はキリスト教にまつわる宗教画ですが、出品者のひとつであるボブ・ジョーンズ大学が「キリスト教」美術に限定して美術作品を収集していることが理由のひとつにあげられるでしょう。
 バロック絵画の特徴は強い明暗法や豊かで深い色合いなどで、まさに美術展の名称でもある「光と闇」という表現がぴったりと当てはまります。そのバロック絵画を代表する画家であるルーベンスやベラスケス、プッサンの絵がこの図録に掲載されています。
 受け取る印象は人によってそれぞれですが、バロック絵画はどことなく神秘性を帯び、荘厳さをかもしだしているように感じます。
バロック絵画では風俗画や静物画は下級モチーフだったせいか、花が描かれている絵画はほとんどなく、ルーベンスがオアシス・ベールト(父)と共作した1作程度です。
 もう一冊の図録『エルミタージュ美術館名作展 花の光景』では、花を主役とした静物画が存在感を得た17世紀ごろの絵画を見ることもできます。ぜひ2冊合わせて、バロック絵画から静物画への変遷をたどってみてはいかがでしょうか。

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