Flower Buzz Vol.10


Vol.10 見たい・知りたい・使いたい!【シンビジウム】


 

他の多くの花と異なる点は、切り花専門の品種は開発されておらず、生産者が自らの眼力で良いものを見つけ出し、選抜していくこと。鉢品種でNGとされたものを拾い上げたり、海外から持ってきたり、時代のニーズに合ったものを自ら育種したり。シンビだけに生産者さんの審美眼が問われるところだ。国内の生産者は若手が多く、最近はデザイナー好みの都会的でクールな品種の商品化が実現している。

フラワーデザイナーの視点

シンビジウムを見たら、その連なって咲く花姿から受ける豪華な印象通り、その花言葉は、「高貴な美人」「華やかな恋」。名前にも、淡いピンク系の「愛子さま」とかチョット濃い目の「あんみつ姫」などプリンセスの名前が付けられているものも。蝋細工のような質感が特徴で、ラウンドタイプのブーケやコサージなどに最適です。またアレンジなどに1本入れるだけで、凛としたスタイリッシュな佇まいに。水持ちが良いので、温風の当たらない涼しい場所であれば、切戻しをしながら、茎を水洗いするだけで、1か月以上持ちます。

花市場の視点

育種は交配から固定まで10年は下らないとされ、苗の定植から出荷までさらに数年を要する。それだけに、消費の変化を受けてから育種を始めると、市場にデビューする頃には、また人気の潮流が変わる可能性も。生産と販売側に求められるものは、高いセンスと先見の明。これをもってしてもなお、最大の敵は「時間」かもしれない。

植物学の視点

シンビジウムとはこのランの属名Cymbidiumによる。この名は舟(kymbe)とかたち(eidos)の組み合わせで、唇弁のかたちが舟に似ることから。日本にもあるシュンランやカンランもこの仲間で、他の属のものを含む多種との交配により毎年ぼう大な新品種が作出され、人気が高い。

記/大場秀章(植物学者)

 


制作協力/大田花き花の生活研究所