Flower Buzz Vol.26


 

Vol.26 見たい・知りたい・使いたい!【チョコレートコスモス】

 

コスモスの原種はメキシコを中心とし世界に26種。

日本で目にすることができるのは、そのうちの4種。その1つがチョコレートコスモス。

 

種子が採れないため原種は絶滅したとされているが、人の手が介入することで子孫を繁栄させ、商業生産も実現した。これをリードしているのは日本で、日本の品種がEUや米国で流通している。不可能を可能にした叡智の植物と言えるかもしれない。

 

フラワーデザイナーの視点

チョコレートコスモスの花弁を良く観察すると“花市場の視点”でも触れていたように、ベルベットのテクスチャーです。中心は表紙で分かるようにオレンジがかり、とても綺麗です。

 

ひょろひょろとした姿からは可憐でそっと手をかしてあげたくなるような弱々しいイメージですが、花びらの風合い・色・中心の部分からは可憐ながらにもどこかに強さを感じるのは私だけでしょうか!そこからほのかに甘いチョコレートの香りがしてきます。観察すればするほど不思議な魅力的な花です。

 

さて、どんな場面でアレンジしましょうか!久しぶりに竹編みの掛籠に下に流れるような華奢なつるウメモドキ、またはカラスウリの実を1つ下げ、モミジあるいはマンサク、枝物のヒペリカムなど、その間に1、2輪のチョコレートコスモス、紅葉したエノコログサをあしらって、床柱にかけて風情を楽しんでみては。ひととき日常を忘れられてみたいです。

 

あるいは、フジヅルなどでかごを編み、モミジの枝もの、ダリア、ノギク、ケイトウ、ウスモミジなどの中に風に吹かれるようにチョコレートコスモスをあしらい、晩秋のワンシーンを玄関先におもてなしの花としてお客様を迎え入れるのもいいですね!“私だったらこんな風に”と思い描いてみてくださいね!

 

花市場の視点

1997年から98年にかけて一気に生産量が増え、市場での認知が拡大。

 

現在は季節になれば誰でも入手できるアイテムに躍進した。通称“チョコモス” (“チョココス”とも)。品種改良も進められ以前より水揚げも良く、花首もしっかりしている。散りも少ない。

 

小輪で色も香りもチョコレート。加えて季節感とマッチしたベルベットな花弁がなんとも愛おしい。

 

植物学の視点

花がチョコレートの香りを放つことから名付けられた。コスモス属の1種。

 

コスモスやその仲間の植物は今や日本の秋を代表する花になったが、すべてがメキシコを中心とした新大陸が原産である。コスモスとはギリシャ語で崇高な美を意味し、この語をコスモス属の学名に採用したのはダリアの命名者でもあるスペインの植物学者カバニジェスである。

 

記/大場秀章(植物学者)

 


 

制作協力/大田花き花の生活研究所